【目的】本研究では,人体の骨格を推定する深層学習モデルと深度(depth)カメラを組み合わせ,撮影部位の推定と被写体の厚みを取得することで,適正化されたX線撮影条件を提示するシステムを提案する.【方法】RGBカメラおよび深度カメラを用いて撮影部位の推定と被写体厚の測定を行うことにより適正化されたX線撮影条件を提示する.撮影部位の推定には姿勢推定ライブラリであるOpenPoseを利用した.【結果】撮影部位の認識率は,距離100 cmで深度カメラが15.38%,RGBカメラが84.62%となり,距離120 cmで深度カメラが42.31%,RGBカメラが100%となった.被写体厚の計測精度は,一部を除き誤差±10 mm以下の結果となり,被写体厚に適正化されたX線撮影条件を示した.【結語】X線装置に実装することで,X線撮影条件の自動設定の可能性が期待できる.また,X線撮影条件の設定ミスで生じる線量過多による被ばく線量の増大や線量不足による画質低下を防ぐことができる有用なシステムであるといえる.
本論文は,一般撮影において深度センサ付きカメラにより得られた被写体厚と,ポジショニング画像とAIを用いた撮影部位の推定により,最適撮影条件の自動設定を目指した研究である.OpenPose 等のAI 手法を用いた骨格推定はさまざまな研究分野で利用されているが,骨格推定によるX 線撮影部位の特定への応用は新規性があり,今後他の放射線技術学領域の研究への応用が期待できる.被写体と着衣の密着性や受像面と被写体の密着性等の課題が残るものの,手法の改善や併用などにより更に被写体厚推定精度が向上し,撮影条件の最適化が自動で行えるようになれば,被ばく線量の低減やエラー防止の観点から臨床的に有意義な研究であると考え,編集委員会で高く評価された.以上から本研究は瀬木賞に選出された.
CTにおけるX線エネルギー —基礎から臨床応用まで—
公開日: 2022/05/20 | 78 巻 5 号 p. 449-463
保吉 和貴, 大村 知己, 茅野 伸吾, 後藤 光範, 村松 駿, 本間 経康
3D-VIBEシーケンスを用いた頭部撮像への応用
公開日: 2009/08/07 | 65 巻 7 号 p. 945-951
真壁 武司, 中村 麻名美, 守山 亮
頭部FLAIR 画像におけるpackage 数がコントラストに及ぼす影響
公開日: 2018/10/20 | 74 巻 10 号 p. 1180-1185
小林 明日香, 渋川 周平, 高野 晋, 室 伊三男
診断領域X線の線質表現法として用いられる実効エネルギーの問題点
公開日: 2011/10/26 | 67 巻 10 号 p. 1320-1326
加藤 秀起, 林 直樹, 鈴木 昇一, 安藤 翔, 宮本 まみ, 若杉 奈央, 鈴木 志津馬
呼吸停止法によるバルサルバ効果が肺血栓塞栓症の造影CT 検査に与える影響について
公開日: 2017/04/20 | 73 巻 4 号 p. 273-281
鈴木 千晶, 藤崎 賢二, 渥美 雄介, 竹村 実紀, 水野 孝一, 永峯 岳樹, 天野 智康, 山本 英雄, 高橋 護
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