サラワク・イバン人社会における都市への移動とロングハウス・コミュニティの空洞化

  • 祖田 亮次
    日本学術振興会特別研究員・京都大学大学院生

書誌事項

タイトル別名
  • Rural-Urban Migration of the Iban of Sarawak and Changes in Long-House Communities
  • サラワク イバンジン シャカイ ニ オケル トシ エ ノ イドウ ト ロングハ

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抄録

マレーシア・サラワク州のイバン人は,ロングハウスに住む焼畑農耕民族として知られ,これまで,焼畑や首狩りといった伝統的慣習との関連で,その移動性が注目されてきた.本研究では,都市へと向かうイバン人の新たな移動形態と,そのロングハウス・コミュニティへの影響を明らかにする.<br> 近年のサラワクの経済発展は,イバン人男性に,より安定した職業を提供し,都市滞在の安定化・長期化を促している.それによって,これまでの男性単身の出稼ぎではなく,妻子を伴った都市への移動が可能になった.このため,女性の都市流出が顕著になってきた.一方,村での生業活動は,陸稲栽培から水稲栽培への移行,作付面積の縮小という変化を伴いながら,高齢者層が中心的な担い手となっている.若年層の減少と生業活動の衰退は,世代継承の途絶と世帯間の紐帯を弱める傾向をもたらし,ロングハウスを基盤とする村落社会構造が空洞化しつつある.

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