結晶学の原点を読む(1) 異常分散の位相問題への応用-MAD法の原点を読む Use of Anomalous Dispersion for the Phase Angle Determination in X-Ray Crystal Structure Analysis

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抄録

入門講座「結晶学の原典を読む」の第1回目は, 異常分散の問題です.現在大きな脚光を浴びる構造生物学の分野で, タンパク質結晶学は極めて重要な役割を果たしています.未知のタンパク質の結晶構造を解く, すなわち位相問題を解決するには, これまで重原子同型置換法が唯一一の方法でした.これには重原子誘導体結晶の調製という試行錯誤を伴う困難なステップが, 常につきまとっていました.近年のンクロトロン放射光の出現と遺伝子工学の進歩は, この位相問題の解決に新しい道を開くことになりました.それがMAD (Multiwavelength Anomalous Dispersion) 法 (多波長異常分散法) です.シンクロトロン放射光は自由に波長を選んで異常分散を最も効果的に測定することを可能にし, 遺伝子工学はメチオニンのイオウをより効果的な異常分散原子であるセレンに置き換えたセレノメチオニンを導入したタンパク質を作ることを可能にしました.その結果, 重原子誘導体結晶を調製することなしに, 複数の波長でセレノメチオニンタンパク質結晶の回折データを測定することで, 結晶構造を解くことができるようになったのです.このようなタンパク質の結晶構造決定に画期的な進歩をもたらしたMAD法の原点は, 我が国の結晶学者が大きな貢献をしたX線の異常分散に関する研究にあったのです.今回はそのような歴史的背景を踏まえて, この問題についてやさしく解説していただきました.

The two original reports [Okaya, Saito and Pepinsky: Phys. Rev. 98, 1 857 (1955), and, Okaya and Pepinsky, Phys. Rev. 103, 1645 (1956) ] describing the methods involving the use of the x-ray anomalous dispersion effect for the phase angle determination in x-ray crystal structure analysis are reviewed; the former paper describes a Patterson-like Ps (u) function, and the latter"New Formulation and Solution of the Phase Problem in X-Ray Analysis of Noncentric Crystals Containing Anomalous Scatterers."

収録刊行物

  • 日本結晶学会誌  

    日本結晶学会誌 40(4), 237-243, 1998-08-28 

    The Crystallographic Society of Japan

参考文献:  14件

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10002590754
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00188364
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    ART
  • ISSN
    03694585
  • NDL 記事登録ID
    4553530
  • NDL 雑誌分類
    ZM46(科学技術--地球科学--岩石・鉱物・鉱床)
  • NDL 請求記号
    Z15-138
  • データ提供元
    CJP書誌  NDL  J-STAGE 
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