西南日本内帯古~中生代付加型造山帯のナップ境界の衝上断層

書誌事項

タイトル別名
  • Nappe-bounding thrust faults in the Paleozoic-Mesozoic accretionary orogen in the Inner Zone of southwestern Japan

この論文をさがす

抄録

日本列島は古生代から新生代にかけて形成された典型的な付加型造山帯であり, その基本構造は衝上断層で境されたナップの重なりであって, ナップに含まれる地層や岩石の形成年代は一般に構造的上位のナップほど古い. ナップには基盤岩(火成岩・変成岩)を含むものと, 堆積岩のみよりなるものがあるが, 日本列島の付加体の場合, 含まれる基盤岩の多くはオフィオライトや海山の断片である. 大陸地殻の断片と考えられる隠岐帯・飛帯を除くと, 西南日本内帯の古生代付加体には, 古生代前期以前に形成された大江山オフィオライトが構造的最上位を占め, その下に三郡-蓮華ナップ, 秋吉ナップ, 舞鶴ナップ(古生代後期以前の夜久野オフィオライトを含む), 超丹波ナップ, 三郡-周防ナップ(一部は中生代前期の付加体)があり, これら全体がジュラ紀付加体(美濃・丹波ナップ)を構造的に覆っている(Fig. 1)<BR>最近20年間に, これらのナップを境する衝上断層の露頭が次々に発見されてきた. ここにそれらの代表例をまとめて示す. Fig. 2は若桜地域において, 大江山オフィオライトの蛇紋岩化したマントルかんらん岩が蓮華ナップ(志谷層)の泥質片岩に衝上する露頭である(上村ほか, 1979, p.28). Fig.3 は新見地域で, 大江山オフィオライトの同岩が秋吉帯の石灰岩に衝上する露頭である(早坂ほか, 1995, Stop 1). この断層は3km以上にわたって追跡できる(Fig.4). Fig.5 は大屋地域において大江山オフィオライト(関宮岩体)の同岩が夜久野オフィオライトの玄武岩質凝灰角礫岩に衝上する露頭で, ここでは時代も岩石学的性質も異なる2つのオフィオライトが重なっている(Fig.6; Ishiwatari and Hayasaka, 1992のStop 14(中瀬地窓)の2km南方). Fig, 7は高浜地域で夜久野オフィオライトが超丹波帯の砂岩, 泥岩, 凝灰岩に衝上する露頭である(Ishiwatari and Hayasaka, 1992;Stop 6). Fig.8 とFig.9 は, 小浜地域および青垣地域において, 超丹波帯の二畳系氷上砂岩が丹波帯II型地層群のジュラ系泥質岩に衝上する露頭である(石賀ほか, 1987;Stop 2, 3).

収録刊行物

  • 地質学雑誌

    地質学雑誌 105 (2), III-IV, 1999

    一般社団法人 日本地質学会

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

参考文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ