関東山地の中・古生界研究の現状と課題(総説)

書誌事項

タイトル別名
  • The results of recent researches on the Paleo-Mesozoic of the Kanto Mountains, central Japan (Review)
  • 関東山地の中・古生界研究の現状と課題
  • カントウ サンチ ノ チュウ コセイカイ ケンキュウ ノ ゲンジョウ ト カダ

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抄録

日本の地質「関東地方」(1986)以降の関東山地の中・古生界の研究を概観し現状と課題をまとめた.この間の主な研究成果として以下の点が挙げられる.1.三波川帯の構造的上位に位置する跡倉ナップは,南部北上帯・阿武隈帯・領家南縁帯・黒瀬川帯の諸岩石からなり,三波川帯と領家帯の間に位置した古領家帯にあたる.2.三波川帯の変成分帯が広範囲になされるとともに,変形組織や放射年代による研究もおこなわれた.3.秩父累帯北帯・秩父累帯南帯・四万十累帯の放散虫層序のめざましい進展により,各帯でユニット相互の層位関係についての議論が可能になってきた.秩父累帯北帯は4ユニットおよび南縁帯に再区分された.秩父累帯南帯は主たるメランジュ相の他に三宝山層相当層・チャート砕屑岩シークェンス・鳥巣層群相当層が区分される.四万十累帯は大きく3つに区分される.4.黒瀬川帯の要素として二畳紀付加体・浅海相三畳系・蛇紋岩の分布が次第に明確になってきた.今後の課題としては次のものがある.1.跡倉ナップ形成のテクトニクスの解明,2.三波川帯の放射年代学的研究,ならびに石墨化度から導かれる層状地質体の検証,3.付加体としての秩父累帯北帯・三波川帯の各ユニット間の層序関係の復元,4.黒瀬川帯の識別基準の確立,とくに上記の黒瀬川帯要素とジュラ紀付加体との層序関係の確認,5.秩父累帯北帯と南帯との層序関係・構造関係の解明,とくに北帯南縁帯や南帯乙父沢層の位置付け,6.四万十累帯のユニット区分の細分と他地域のユニット区分との対比.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 49 (4), 271-291, 1995

    地学団体研究会

被引用文献 (24)*注記

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参考文献 (128)*注記

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