周氷河斜面と更新世火山灰の分布からみた最終氷期の周氷河帯-非周氷河帯境界

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タイトル別名
  • Altitudinal Boundary between Periglacial and Non-Periglacial Zones in the Last Glacial Age Reconstructed from Distribution of Periglacial Slopes and Pleistocene Tephra Layers, Northeastern Japan
  • シュウヒョウガ シャメン ト コウシンセイ カザンバイ ノ ブンプ カラ ミタ

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抄録

最終氷期の日本列島における周氷河帯-非周氷河帯の境界について,化石周氷河斜面の分布と更新世火山灰の山地斜面上における分布から検討した.一般に化石周氷河斜面は過去の周氷河環境の示相地形として用いられてきている.しかし,周氷河帯の範囲を復元するにあたって問題となる,山頂から連続的に分布する化石周氷河斜面の下限高度にはかなりの高低が認められる.また,その下限付近より低い高度帯では,点在する化石周氷河斜面として岩塊流が分布する.これらの分布からは,最終氷期の周氷河帯-非周氷河帯境界は,高度的に広がりをもち,連続的周氷河斜面帯・点在周氷河斜面帯・安定斜面帯などが錯綜した状態であったとみられる.一方,更新世火山灰の分布上限高度は,最終氷期における周氷河帯-非周氷河帯境界領域のなかで,周氷河現象を阻止するほどの植生限界線として意義づけられる.東北日本における (1) およそ3万年前以前に降下堆積した火山灰層と (2) およそ1.5万年前~1万年前に降下堆積した火山灰層の分布上限高度は,いずれも低緯度側に向かって高くなり,また最終氷期後半から晩氷期にかけて上昇している.

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