森林の成立過程における水質形成機構の変化 : 植生の発達段階の異なる流域における水質・水文観測

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  • Changes of hydrochemical processes along forest succession : Catchment observation on the three different successional stages
  • シンリン ノ セイリツ カテイ ニ オケル スイシツ ケイセイ キコウ ノ ヘ

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抄録

森林の成立, 遷移過程において水質形成機構がどのように変化するかを明らかにすることを目的として, 同じ基岩上に成立する, 植生の発達段階の異なる3つの流域において水質水文観測を行った。3流域について, 水質形成に影響する生物化学的要因と地球化学的要因の相違とそれらの相互作用の違いに着目し, 各流域の主要な水文素過程ごとに溶存物質の濃度変動を考察した。その結果以下の知見を得た。森林流域では, 裸地流域とは異なる風化過程が存在することが見いだされ, その相違の原因が森林が成立する土壌中に卓越するNO_3_-等の生成に伴うH_+であることが示唆された。発達した土壌中で土壌水に溶解して風化反応物として働くCO_2は, 僅かに植生が侵入している裸地流域でも森林流域に近い濃度で存在し, 上記の裸地-森林流域間の風化過程の相異は, CO_2条件によって生じているのではないことがわかった。生物化学的要因と, 地球化学的要因は森林の発達につれて水質への影響の仕方が変化すること, 成熟した森林に達するまでの過程において各要因の変化の速さは異なることが示唆された。

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