Influence of Stock Origin, Timing and Place of Release on the Movement and Recapture Rate of the Masu Salmon

Bibliographic Information

Other Title
  • 系群、放流時期および放流場所がサクラマス種苗の河川内の移動分散と再捕率に及ぼす影響

Abstract

系群の異なるサクラマス種苗を種々の放流条件で、同一河川、同一年度に放流し、その後降海するまで追跡した。1. 発眼卵放流魚、春季稚魚放流魚(ともに加治川サクラマス×加治川サクラマス)の分散も天然魚とほぼ同様に下流域への分散傾向が強かった。2. 春季に稚魚放流した池産ヤマメは、放流後、放流点付近に定着し、降下移動は認められなかった。3. 春季稚魚放流魚(加治川サクラマス×加治川サクラマス)では5月以降翌3月まで上流域に生息する個体の方が下流域のそれよりも大きい傾向がみられた。4. 稚魚放流魚(加治川サクラマス×加治川サクラマス)では5~7月まで上流域に雄が多い傾向が認められた。5. 秋季に幼魚放流した池産ヤマメも、春季稚魚放流した池産ヤマメと同様に上流域に分散する傾向が強いものと考えられた。6. 1991年に定点14に放流した秋季幼魚放流魚は、各種苗とも上流に分散する傾向が強かった。一方定点9に放流した1992年では放流点付近に定着する傾向が強かった。このことから、1992年の移動は、越冬場所を求めての遡上行動と推測された。7. 秋季幼魚放流、1+スモルト放流において、養成場所が異なる同一系群の種苗は、放流後の移動分散、再捕率が異なった。8. 秋季幼魚放流において、継代年数の長い小出支場B系ヤマメ×小出支場B系ヤマメ(北海道千走川、当幌川産サクラマスを起源)は、より短い山形池産サクラマス×山形池産サクラマス(山形県赤川産サクラマスを起源)よりも、放流後上流に分散する傾向が強かった。9. 加治川サクラマス×加治川サクラマスの春季稚魚放流群の再捕率は、5月に最も高くなり、7月以降減少したが、その減少率は比較的小さかった。10. 発眼卵放流群の再捕率は3月当初から低位に推移した。特に第1頭首工下流に放流した群において顕著であり、1月以降採捕はされなくなった。しかし上流放流ではその減少率は比較的低かった。11. 群馬ヤマメ×群馬ヤマメの再捕率は、5月では0.280%と非常に高い値を示したが、7月以降急減し、翌1月には再捕されなくなった。12. 秋季幼魚放流群では、加治川サクラマス×加治川サクラマス(加治川ふ化場養成)、同(小出支場養成)、魚野掛サクラマス×魚野川サクラマスともに、放流直後の11月の採捕では、高い再捕率を示したが、その後急減し、翌3月では加治川サクラマス×加治川サクラマスの春季稚魚放流群と同程度となった。このなかで加治川サクラマス×加治川サクラマス(加治川ふ化場養成)は放流直後最も再捕率が低かったが、他の種苗と比較して再捕率の減少は小さかった。13. スモルト放流群の3月の再捕率は、放流直後であったためか、いづれも高く0.075~0.143%であった。この中で最も再捕率が高かったのが山形池産サクラマス×山形池産サクラマスであり、加治川サクラマス×加治川サクラマスが最も低かった。

Journal

Citations (1)*help

See more

Details 詳細情報について

Report a problem

Back to top