磯根漁場造成における物理的撹乱の重要性
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抄録
コンブ類、アラメ・カジメ類、アワビ類、ウニ類およびサザエなどの岩礁生物の生息場所は波当たりの強い浅い所である。このような場所では生物に及ぼす波の影響が強く、植食動物の摂食が抑制されたり、付着生物が基盤から剥取られたり、基質を反転または衝突させて裸面をつくったりする。このような波浪の物理的作用は生態学では一般に攪乱と呼ばれる。生態学で攪乱が注目されるのは通常、遷移に関係する場合である。遷移とは生物群集が環境を変えつつ、比較的安定な極相へ向かって次第に変化することであるが、攪乱は遷移を元の状態へ引戻し、遷移途中の様々な生物群集を出現させる。種の多様性と遷移の関係について、Margalefは遷移の初期または中期に最高になり、極相になると減少する傾向があると述べている。また、Sousaは潮間帯における転石場の付着生物群集を調べ、波浪による攪乱が種の多様性の維持に不可欠であることを示している。磯根漁場においても同様に波による攪乱が種の多様性に寄与していると推察される。
収録刊行物
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- 水産工学
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水産工学 31 (2), 103-110, 1994-11
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050845763599807360
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- NII論文ID
- 10004855332
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- NII書誌ID
- AN10278554
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- ISSN
- 09167617
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
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