PC低感受性肺炎球菌による小児急性中耳炎に対するCefditoren pivoxil粒剤の臨床効果と細菌学的検討

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  • EFFICACY OF CEFDITOREN PIVOXIL IN THE TREATMENT OF ACUTE OTITIS MEDIA DUE TO BENZYLPENICILLIN-INSENSITIVE STREPTOCOCCUS PNEUMONIAE

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抄録

市中診療所を受診した小児急性化膿性中耳炎に対するCefditoren pivoxil (CDTR-PI) 粒剤の臨床的並びに細菌学的検討を行い, 以下のような知見を得た.<BR>1. 210症例から推定起炎菌248株を分離したが, Streptococcus pneumoniae 42.3%, Haemophilus influenzae 38.8%と2菌種で81.1%とその大半を占めた.また, S. pneumoniaeに占めるBenzylpenicillin (PCG)-insensitive S. pneumoniae (PISP) またはPCG-resistant S. pneumoniae (PRSP) の割合は36.2%であり, 全分離株の15.3%, 全症例の18%を占めていた.<BR>2. 中耳腔と上咽頭細菌の相関性ではStreptococcus pyogenes, S. pneumoniae, H. influenzaeでは80%以上の一致率であったが, Staphylococcus aureusでは同時に検出される例はなかった.S. aureus, Coagulase-negative stapbylococci (CNS) などは検体採取時の外耳道での汚染混入と考えられた.<BR>3. S. pneumoniaeの年齢別分離頻度では0~4歳の低年層が高く, またPISPまたはPRSPについても同様な傾向がみられた.<BR>4. 主要分離菌のS. pneumoniae及びH. inftuenzaeに対するCDTRと関連経口抗菌薬の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, CDTRが両菌種に対して強い抗菌活性を有することが認められた.また, CDTR-PI粒剤3mg (力価) /kgl回投与で耳漏内に平均濃度で0.58μg/mlが移行していた.<BR>5. 中耳腔と上咽頭細菌の除菌効果については, 中耳腔ではいずれも80%以上の除菌率で各菌種間で大差はなかったが, 上咽頭ではPISPは30%の除菌率でPSSP及び他菌に比し有意に低い除菌率であった.<BR>6. 臨床的効果では有効率89.4%, 細菌学的効果92.2%, 安全性では副作用なし90.5%で, 有用性は89.4%の成績が得られた.<BR>7. 以上の結果から, CDTR-PIはPISP感染症なども含めた小児急性中耳炎に有用な経口抗菌薬と考えられる.

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参考文献 (16)*注記

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