外科感染症分離菌とその薬剤感受性1996年度分離菌を中心に

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  • BACTERIA ISOLATED FROM SURGICAL INFECTIONSAND THEIR SUSCEPTIBILITIES TO ANTIMICROBIAL AGENTSSPECIAL REFERENCES TOBACTERIA ISOLATED BETWEEN JULY 1996 AND JUNE 1997

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抄録

1982年7月から外科感染症分離菌とその薬剤感受性に関する多施設共同研究を行ってきているが, ここでは1996年度 (1996年7月~1997年6月) の結果を中心にまとめた。1年間で調査対象となった症例は217例であり, このうち177例 (81.6%) から406株の細菌が分離された。一次感染症から162株, 術後感染症からは244株が分離され, 一次感染症では術後感染症に比べ嫌気性菌の分離率が高く, 術後感染症では好気性グラム陽性菌の比率が高かった。全体では好気性グラム陽性菌はEnterococcus spp.の分離頻度が最も高く, このうち術後感染症ではEnterccoccus faecalisが多くを占めたが, 一次感染症ではEnteroccccus aviumが多かった。Enteroccccus spp.に次ぐのはStaphylococcus spp.であり, とくに術後感染症からの分離頻度が高かった。嫌気性グラム陽性菌では, 一次感染症, 術後感染症ともにPeptostreptccoccus spp.Streptcccccus spp.が多く分離された。好気性グラム陰性菌については, 一次感染症ではEscherichia ccliが最も多く, 次いでKlebsiellapneumoniae, Pseudomonas aeruginosaの順であった。これに対し, 術後感染症ではP. aeruginosaの分離頻度が最も高く, 次いでE. coli, Entercbacter cloacaeなどであった。嫌気性グラム陰性菌では, 一次感染症, 術後感染症ともにBactercides flagilis groupの占める比率が高かった。年次的には一次および術後感染症ともに好気性グラム陰性菌の比率が減少し, 代わってB. flagilis groupを主とする嫌気性菌の増加と好気性グラム陽性菌の漸増傾向が認められた。薬剤感受性では, Staphylococcus aureusにはVancomycinに対する耐性株は認めなかったが, Arbekacinに対しては1株が100μg/mlのMICを示した。Enterccoccus spp.にはVancomycin耐性株はみられなかった。P. aeruginosaに対するMeropenemとImipenem/cilastatinのMIC90はともに25μg/mlであり, 1995年度の分離株に比べカルバペネム薬に対する耐性の進行が認められた。

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