多彩な髄外浸潤を呈し,経過中イレウスを起こした劇症型多発性骨髄腫の1剖検例

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タイトル別名
  • A Fatal Case of Aggressive-Phase Multiple Myeloma with Ileus and Invasion into Extramedullary Organs

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抄録

症例は62歳女性。1988年2月よりIgA-λ型単クローン性γ-グロブリン血症として経過観察中,1991年3月IgAの増加,骨髄形質細胞8.8%等より多発性骨髄腫と診断。メルファラン,プレドニゾロン併用療法等にて治療中の1996年3月,皮下・リンパ節・胸壁などに髄外腫瘤形成,高カルシウム血症,腎不全を来し入院。化学療法施行中にイレウスを起こし緊急手術を施行,組織学的検索にて異型性の強い骨髄腫細胞の小腸浸潤によるイレウスと判明。その後病勢の進行に伴い血中M蛋白は著減,尿中BJPは増加し,治療抵抗性となり1996年8月に死亡。剖検では多臓器に髄外病変(未分化な形態を持つ骨髄腫細胞の浸潤)を認め,免疫組織学的検索ではα鎖陽性細胞に対する,λ鎖陽性細胞の増加を認めた。本例の末期の臨床像は劇症型多発性骨髄腫aggressive phase multiple myelomaの病態に相当する。また,これまでに報告のない消化管壁への骨髄腫細胞の浸潤でイレウスを起こした稀な症例である。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 39 (5), 379-385, 1998

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (6)*注記

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参考文献 (15)*注記

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