術中使用したフィブリンのりにより,ヒトパルボウイルスB19に感染し,一過性に急性赤芽球癆をきたした症例

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タイトル別名
  • Human Parvovirus B19-induced Aplastic Crisis in a Patlent Treated with Fibrin Sealant

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抄録

42歳,女性。子宮筋腫核出術後第10病日より白血球減少および網状赤血球減少が出現し,骨髄穿刺の結果,赤芽球の著減と巨大前赤芽球の出現を認めた。パルボウイルスB19抗体はIgM, IgGともに陰性から陽性転化し,polymerase chain reaction (PCR)法でもヒトパルボウイルスB19DNAが検出された。その後,血液検査および骨髄所見は正常に回復した。回復期の骨髄細胞を用い,コロニー形成能に対する急性期血清の影響を調べたところ,CFU-EおよびBFU-E由来の赤芽球系コロニー形成は完全に抑制された。以上より,本症例はパルボウイルスB19感染による急性赤芽球癆と診断した。本症例で手術中に使用された生理的組織接着剤であるフィブリンのりからPCR法によりヒトパルボウイルスB19DNAが検出された。最近,フィブリンのりは術中の止血のために広く用いられており,今後同様の感染に注意が必要である。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 40 (2), 145-149, 1999

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (12)*注記

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