免疫グロブリンの大量投与を契機に著明な血小板減少をきたしたITP合併の妊婦例

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タイトル別名
  • Marked Thrombocytopenia after High-dose Intravenous Gamma Globulin in a Pregnant Woman with Idiopathic Thrombocytopenic Purpura

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抄録

35歳の女性が第三子妊娠中に血小板減少(6.4×104l)を指摘され,1995年1月に当院外来を受診した。骨髄の巨核球数338/μl, PAIgG 40.8 ng/107 cellsなどよりITPと診断され無治療で通院していた。1996年6月7日,妊娠9週で来院し人工中絶を希望した。この時,血小板数(Plt) 6.3×104l, 白血球数(WBC) 8,600/μl, Hb 13.7 g/dlであった。同日より400 mg/kg/日のグロベニン-Iを5日間投与した。投与5日目,Pltは0.9×104lと著減していた。その時のPlt, WBCとHb濃度の治療前値に対する減少率はそれぞれ85.8%, 46.6%と11.7%であった。グロベニン-I投与終了後6日目のPAIgGは181.2 ng/107 cellsであったが,この時高ガンマグロブリン状態が推定された。6月24日からプレドニソロンの投与を開始し,Pltが7.7×104lとなった7月29日に他施設で手術を行った。本例の血小板減少の機序は不明だが,ポリエチレングリコールで処理した薬剤であるグロベニン-Iによる骨髄機能の抑制も可能性の一つと考えられた。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 40 (4), 318-323, 1999

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (15)*注記

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