アトピー性皮膚炎患者における発汗障害の解析

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抄録

アトピー性皮膚炎患者における発汗障害を明らかにするために,アトピー性皮膚炎患者20名[男性12名,女性8名,平均26.0歳]と健常人20名[男性10名,女性10名,平均25.2歳]について入浴負荷後の発汗量を前額,頸部,肘窩,背部の4ヵ所について局所発汗量連続記録装置(Kenz Perspiro OSS-100)を用いて測定した.結果:アトピー性皮膚炎患者群では健常人群と比較していずれの部位においても発汗の低下が認められ,皮疹の程度の強い前額部において健常人群0.36±0.04mg/cm2/minに対してアトピー性皮膚炎患者群0.21±0.02mg/cm2/minと有意に低下(p<0.05)していた.また,患者群内の皮疹部と無疹部の比較では,無疹部でより発汗が少ない傾向が認められた.以上より,アトピー性皮膚炎患者では,温熱負荷に対する発汗能が低下しており,それによる熱放散の障害が皮疹の悪化因子となっている可能性が示唆された.さらに,患者群内で皮疹部より無疹部で発汗の低下が認められたことは,発汗低下が単に皮疹に関連した炎症の結果としての現象ではなく,神経支配の異常などに基づくものである可能性が示唆された.

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