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抄録
ヒト頭皮毛包由来毛乳頭細胞(DPC)の単離および継代培養に際し,酵素処理,細胞外マトリックスのコーティングが毛乳頭細胞増殖に与える影響を検討した.単離毛乳頭の酵素処理では,コラゲナーゼ処理群は未処理群と比較して培養皿への接着・シート形成ともに良好であった.しかし,ヒアルロニダーゼおよびディスパーゼ処理では未処理群よりシート形成において良好な結果は得られなかった.DPCの培養時に細胞外マトリックスで培養皿をコーティングすると未コーティングで培養したDPCに比べ有意に増殖を促進した.特にファイブロネクチンでコーティングした培養皿で培養したDPCは最も良好な増殖促進作用を示した.以上の如く,より長期に多量のDPCの培養が可能な方法を確立した.次に,各種細胞成長因子添加によるDPC増殖能の検討を行った.EGF,TGF-α,acidic-FGF,KGFは,統計学的に有意に細胞数の増加を認め,TGF-β1は有意に抑制した.しかし,促進作用を示した2種類の成長因子を同時に添加してもDPC増殖に対する,相乗作用は認めなかった.さらに、現在発毛促進剤として知られるminoxidilおよびその代謝産物であるminoxidil sulfateを添加し,DPC増殖に対する作用を検討したが,両者ともDPC増殖を促進せず,逆に,濃度依存性に抑制した.以上の如く,本法はDPCに与える種々の因子の検討が可能である.
収録刊行物
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- 日本皮膚科学会雑誌
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日本皮膚科学会雑誌 106 (3), 249-, 1996
公益社団法人 日本皮膚科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680717105024
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- NII論文ID
- 130004680942
- 10007726290
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- NII書誌ID
- AN00196602
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- COI
- 1:CAS:528:DyaK28XivVCru70%3D
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- ISSN
- 13468146
- 0021499X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可