慢性心不全における心室再分極の心拍依存性の変化  ホルター心電図によるQT/RR関係

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タイトル別名
  • <I>Heart rate dependence of ventricular repolarization property in patients with heart failure</I>
  • ―ホルター心電図によるQT/RR関係―

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抄録

慢性心不全における心室再分極過程の心拍依存性 (QT/RR関係) および心室期外収縮 (PVC) 発生について検討した.慢性心不全の急性増悪のため入院した洞調律30例 (男性/女性=24/6, 65±6歳) に24時間ボルター心電図を入院時 (0.3±0.4病日) と退院前 (28±13病日) に記録し, 健常者15例 (男性/女性=12/3, 65±2歳) と比較した.QT自動計測プログラムを用いて15拍ごとに加算平均した波形よりQT間隔を計測し, QT/RR関係の回帰直線の傾き (QT/RR slope) , 寄与率 (相関係数の二乗; r2) , および切片を求めた.心不全退院前に左室駆出率は有意に改善し (32±9%から41±8%) , PVCは減少した (1, 725±385/日から280±83/日) .QT/RR slopeは, 心不全入院時には高値であったが, 退院前には有意に低下し, 健常者と有意差を認めなかった (健常者0, 17±0.06, 心不全入院時0.25±0.13, 心不全退院前0.18±0.07) .寄与率は心不全入院時も退院前もいずれも健常者より有意に低値であった (健常例0.69±0.14, 心不全入院時0.44±0.2, 心不全退院前0.52±0.23) , 切片には3群間で有意差は認められなかった (健常者231±90msec, 心不全入院時252±67msec, 心不全退院時252±51msec) , 以上より, 慢性心不全では血行動態の改善に伴い, PVCの減少, QT間隔の短縮およびQT/RRslopeの正常化が認められた.慢性心不全患者では血行動態の推移がQT/RR関係に反映され, 不整脈発生基質の変化をもたらすことが示唆された.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 22 (1), 3-9, 2002

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (23)*注記

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