イヌ虚血心におけるα1受容体遮断の不応期ならびに心筋血流量への影響  β受容体遮断との対比

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  • Effects of .ALPHA.1- and .BETA.-adrenoceptor blockade on refractory period and myocardial blood flow during myocardial ischemia.

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抄録

イヌ虚血心でα1遮断薬bunazosinの虚血-正常心筋間, 心内膜-心外膜側心筋間の不応期差, 血流量差を検討しpropranololと比較した.イヌをbunazosin (BN) 群 (n=11) , propranolol (PR) 群 (n=12) , 対照 (n=9) に分けた.冠結紮前と後, 薬剤投与後に不応期をS1-S2法, 血流Bを非放射性重元素マイクロスフエア蛍光X線法により測定した.冠結紮後, 虚血域では心内膜側に比べ心外膜側の不応期短縮が大であった (各群p<0.05) .冠結紮前血流量は心外膜側に比べ心内膜側で多かった.結紮後, 心内膜側の減少が大で両層間差は縮小した.BN投与後, 虚血で短縮した心外膜側の不応期は延長, 心内膜側-心外膜側差は縮小した.正常心筋への影響はなく, 虚血-正常域間不応期差も縮小した.BNは心外膜側より心内膜側血流量を減らし両層間に差を生じた (p<0.05) が, 対照も同じ傾向を示した.PRは虚血域, 正常域の不応期を延長した.虚血域では心内膜側 (p<0.1) より心外膜側心筋 (p<0.01) の延長が大で, 両層に差を生じた (p<0.05) .PRは心内膜側, 心外膜側心筋の血流量を減らしたが, 両層に差はなかった.<BR>不応期延長作用はBNは虚血域のみ, PRは虚血, 正常域双方であったことから両剤の不応期延長は別機序と考えた.虚血域では心外膜側の血流減少が心内膜側に比べ大であることはなかったことから, 両剤の心外膜側優位の不応期延長は血流量減少差より, 両層の電気生理学的反応差にあると考えられた.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 18 (6), 830-841, 1998

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (36)*注記

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