甲状腺機能低下症hypothyroidismと軟骨異栄養症の不全型incomplete achondroplasiaとの合併症にみられた矯正学的所見

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タイトル別名
  • Orthodontic Findings in two Cases of Hypothyroidism associated with incomplete Achondroplasia
  • コウジョウセン キノウ テイカショウ hypothyroidism ト ナンコ

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抄録

甲状腺機能低下症と軟骨異栄養症の既往をもち, 著しい下顎前突を主訴として来院した姉妹について歯科矯正学的な見地から検討を加えた。まず患者の成長発育障害の主因とされた甲状腺機能低下症が顎顔面頭蓋の成長発育ことに咬合系の発育にいかなる影響を与えているかについて検討した。本症の咬合系への影響はある定型的な過程を追うのではなく, むしろその影響が咬合系の成立のどの要因へ強く作用したかによって表現型の変異が現われるものと推定される。<BR>つぎに甲状腺機能低下症と軟骨異栄養症が共通して影響を与える部位すなわち軟骨の発育障害が顎顔面頭蓋の成長にどのような影響を与えるかについて検討を加えた。姉妹とも頭蓋底の軟骨縫合部が早期骨化融合し, 同部における成長が著しく阻害されていた。ことに姉においてその程度が著しく, 妹との違いは内科的療法の開始時期の差異によるものと判断された。さらに軟骨異栄養症の際, 骨端軟骨ならびに軟骨縫合部が影響を受けるにもかかわらず, 下顎頭軟骨の成長への影響が僅少なのは, 同部で細胞増殖を行う層は発生的には骨膜由来であることに関連しているものと推定された。

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