内湾養殖漁場における定常過程と一過性過程の役割 Roles of the Steady Process and Transitory Process in Mariculture Farm in Enclosed Bay

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抄録

狭い湾口が、破壊エネルギーをもった外海波浪などを抑えるだけでなく、外海との間の諸物質の交換を制御している閉鎖性内湾は養殖漁業に好適な場となっている。しかし、一方でこの湾口特性の故に漁場環境は悪化し、老化するというパラドックスをもっている。閉鎖的な限られた空間である内湾養殖漁場においては、例えば、短い時間スケールでは物質蓄積量に変化がみられず(準)定常状態を保っていると考えられても、長期間の蓄積量は無視できない漁場環境をつくりだす。長期的持続性を前提とする養殖漁場経営の観点からも、閉鎖的な内湾の漁場環境の形成を定常過程あるいは準定常過程としてのみ扱うことは極めて危険であるといえよう。沿岸域、内湾での海水流動としては平時の河川水の流入や潮汐のような定常過程があり、一方、急潮、沿岸湧昇、海陸風、セイシュ、また集中豪雨に伴う洪水流入のような一過性(非定常)過程がある。これらの定常過程、一過性過程が養殖漁場内で海水を動かし、また外海との間の海水交換をもたらして、a)養殖対象生物の生存に適した海水(水温、塩分、溶存酸素)の供給、b)養殖対象生物の餌料(プランクトン、デトリタス)の供給、c)有害物質や不用物質(残餌、糞尿、死骸)の排除といった内湾養殖漁業維持のための重要な役割を果たしている。例えば、長期間持続する河川水の流入は高塩性を好む養殖生物には持続的なストレスとなる。一方、潮汐周期での適度の塩分変動は、対象生物にとって成長への刺激、リズムとなる。

収録刊行物

  • 水産工学

    水産工学 37(2), 107-113, 2000-12-01

    日本水産工学会

参考文献:  19件中 1-19件 を表示

被引用文献:  1件中 1-1件 を表示

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10008273808
  • NII書誌ID(NCID)
    AN10278554
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    ART
  • ISSN
    09167617
  • NDL 記事登録ID
    5611859
  • NDL 雑誌分類
    ZR26(科学技術--農林水産--水産)
  • NDL 請求記号
    Z18-1327
  • データ提供元
    CJP書誌  CJP引用  NDL  IR 
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