福島県4施設から分離された臨床分離緑膿菌の薬剤感受性の検討

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  • ANTIMICROBIAL SUSCEPTIBILITY OF <I>Pseudomonas aeruginosa</I> ISOLATED IN FUKUSHIMA PREFECTURE

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抄録

我々は福島県4施設で分離された病原性のある喀痰由来緑膿菌について, カルバペネム系薬剤を中心にβ-ラクタム系8薬剤に対する薬剤感受性と薬剤間の交差耐性について検討した。全216株の感受性をMIC90値でみるとmeropenem (MEPM) が6.25μg/mlと最も良い感性を示し, 次いでimipenem (IPM) とceftazidime (CAZ) の125μg/ml, そしてpanipenem (PAPM) とcefsulodin (CFS) の25μg/ml, cefpirome (CPR) の50μg/mlが続き, cefbperazone (CPZ) とpiperacillin (PIPC) は200μg/ml以上であった。各薬剤別耐性頻度は, MEPMが19株 (8.8%) と最も少なく, IPMとCAZが同じ34株 (15.7%), 次いでCFSの50株 (23.1%), PAPMの72株 (33.3%), PIPCの76株 (35.2%), CPRの90株 (41.7%) の順であった。<BR>MEPM, IPM, PAPMのカルバペネム3薬剤間における交差耐性は, MEPMとIPM, MEPMとPAPMでいずれも18株 (8.3%), IPMとPAPMで34株 (15.7%) に認められた。MEPMは, IPM耐性の34株中16株に, PAPM耐性の72株中54株に感性を示した。<BR>多剤耐性緑膿菌の分離状況の検討では, CPZを除いた7薬剤の薬剤感受性の結果から, 7薬剤全部に感性を示した株は92株 (42.6%), いずれか1つ以上の薬剤に耐性を示した株は 124株 (57.4%) であった。これら耐性株の中で2薬剤耐性株が33株 (15.2%) と最も多く, 次いで1薬剤耐性株が31株 (14.4%), 3薬剤耐性株が21株 (9.7%) と続き, 5薬剤耐性株が13株 (6.0%), 4薬剤と7薬剤耐性株が各々9株 (4.2%), 6薬剤耐性株が8株 (3.7%) であった。これら多剤耐性株の出現は, 院内感染において問題となることから, 緑膿菌の薬剤感受性と耐性頻度の動向には注意が必要である。

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