百寿者研究の現状と展望

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  • Centenarian Study: Present Status and Perspectives.
  • ヒャク ジュシャ ケンキュウ ノ ゲンジョウ ト テンボウ

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抄録

健康な百寿者は successful aging を達成したいわば長寿のエリートと考えられる. このような百寿者を対象に研究する目的は, 1) successful aging 達成の条件を検討する, 2) 加齢現象を観察する, 3) 寿命, QOLに対する遺伝素因を検討する, 4) 遺伝素因と環境因子の相互作用を解析し, 寿命, QOLにたいする影響を調べる, 5) 老化学説を検討する, ことなどがあげられる. 百寿者の特徴として, 1) 健康である, 2) 長寿の遺伝素因を持つ可能性がある, 3) 一般の加齢現象からはずれることがある, 4) 長寿に不利な現象が観察されることがある (百寿者 paradox), 4) 女性は長寿, 男性はQOLがよい (性差), 5) 調査項目の分散が大きく集団として不均一であることなどがあげられる. 現在までの百寿者研究はいまだ記述的であり, 対象数が少なく, また一分野特に医学的観点からの調査が多い. 今後の研究方法としては, 多分野かつ学際的調査を元に psychosocial な観点と biomedical な観点を統合した検討が望まれる. 大規模な遺伝素因の調査, 国際比較調査, 多分野の調査が海外で進行中である. 近い将来, 長寿および successful aging の要因と相互関係を示した包括的モデルが構築されることが期待される.

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参考文献 (68)*注記

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