高齢者の高血圧の病態と治療 Pathogenesis and Management of Hypertension in the Elderly

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抄録

高齢者高血圧は, その成因, 病態において若・中年期の本態性高血圧とは大きな違いがあり, また治療効果, 予後という点でも未解決の問題も多い. すなわち, 高齢者高血圧には, 本態性高血圧症に加え, 二次性高血圧, とくに動脈硬化を基盤とする高血圧が包含される. それ故, 高齢者高血圧では脳, 心, 腎, 大動脈, 末梢動脈の動脈硬化性標的臓器障害を高率に合併していることが少なくない. そして, その病態の特徴として, 孤立性収縮期高血圧, 脈圧の増大, 心拍出量の減少, 総末梢血管抵抗の増大, 圧受容体機能の低下, 起立性低血圧の増加, 血圧動揺性の増大, 白衣高血圧や血圧日内変動上, 夜間睡眠時に血圧が下降し難い non-dipper の頻度が高いなどがあげられる. また, 神経・体液性因子からみた特徴として, 血漿量の増加, 流血中レニン・アンジオテンシン系の活性抑制, 食塩感受性の増加, 血中ノルアドレナリン値の上昇, ノルアドレナリンやアンジオテンシンIIなどの昇圧物質に対する昇圧反応性の増大などが明らかにされている. 加えて, 高齢者では慢性閉塞性肺疾患, 糖尿病など高血圧以外の疾患や肝・腎機能低下, 体内K量の減少を併せ持つことが多い.<br>それ故, 高齢者高血圧の治療に際しては, これらの病態の特徴を熟慮し, 至適降圧薬を選択, その最少量から開始し, 緩徐, かつ, 副作用なく適切なレベルまで降圧を図り, 良好な日常生活活動能や生活の質 (QOL)を保持できるよう配慮することが不可欠である. 第一選択薬としては, 通常, 長時間作用型Ca拮抗薬, 少量のサイアザイド系利尿薬, ACE阻害薬あるいは1型アンジオテンシンII受容体拮抗薬などがあげられる. 合併症を有する場合は個々の患者の病態に最も適したものを選び, 至適レベルに血圧をコントロール, 臓器合併症の進展阻止, 生命予後の改善, QOLの保持を図ることが重要といえよう.

収録刊行物

  • 日本老年医学会雑誌

    日本老年医学会雑誌 36(9), 605-612, 1999-09-25

    The Japan Geriatrics Society

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各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10008485356
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00199010
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    REV
  • ISSN
    03009173
  • NDL 記事登録ID
    4892837
  • NDL 雑誌分類
    ZS21(科学技術--医学--内科学)
  • NDL 請求記号
    Z19-25
  • データ提供元
    CJP書誌  NDL  J-STAGE 
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