プレセニリン異常によるアルツハイマー病発症機序の解明

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  • Study of Pathogenesis of Alzheimer's Disease by Transgenic Mice
  • プレセニリン イジョウ ニ ヨル アルツハイマービョウ ハッショウ キジョ ノ カイメイ

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抄録

家族性アルツハイマー病の原因遺伝子であるアミロイドβ蛋白前駆体 (βAPP) およびプレセニリン1 (PS-1) 遺伝子変異を組み込んだトランスジェニックマウス (Tg) を用いて脳アミロイド沈着機序の検討を行った. 変異βAPP (K670N, M671L) を発現するTg2576では, Aβ40およびAβ42が脳アミロイドとして沈着し, アルツハイマー病 (AD) 患者脳の老人斑と酷似した光顕および電顕像を呈した. 脳を2% SDSと70%ギ酸の二段階で抽出し Sandwich ELISAによるAβ測定を行うと, 8月齢以前ではAβはSDS分画のみに認められ, 8月齢ではSDS可溶性Aβが一時的に減少すると共にギ酸可溶性Aβが出現した. この時期に組織学的にも脳アミロイド沈着が出現した. それ以降ではギ酸分画中にAβが急増した. このAβのSDS不溶性分画への移行がアミロイド沈着の重要な step と考えられた. 一方, 血漿中のAβはTg2576では非トランスジェニックマウスの約100倍に増加していたが, 脳Aβ沈着の出現以降は経時的に減少した. 以上の検討よりβAPPの過剰発現はAD脳と同様の脳アミロイド沈着を生じることが示され, Tg2576はアミロイド沈着機序を解明するモデルになりうると考えられた. 新たに作成した変異PS-1 (M146L, C410Y) を発現するTgでは, 脳に24kDのN末断片と16kDのC末断片が増加し, 脳および血漿中にAβの増加が認められた. これより変異PS-1が in vivo でAβの増加を起こして, ADを発症させる可能性が明らかにされた.

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