Health Services Facility for the Elderly and Long-term Care Insurance in Japan

  • Iijima Setsu
    国際医療福祉大学保健学部 現・筑波大学心身障害学系

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Other Title
  • 本邦の介護福祉制度の現状,介護保険導人後の問題点
  • ホンポウ ノ カイゴ フクシ セイド ノ ゲンジョウ カイゴ ホケン ドウニュウ ゴ ノ モンダイテン

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Abstract

来年度 (平成12年度) に迫った介護保険制度では「寝たきり」と「社会的入院」を解消し「自立支援」と「在宅重視」を実現することが基本理念となっている. そこで, 同じ基本理念のもとに10年前にはじまった老人保健施設の現況を検証することにより, 新しい介護保険制度の問題点の検討を試みた. 老人保健施設の現況は厚生省による老人保健施設調査と老人保健施設マロニエ苑での調査をもとに検討した.<br>1) 移動, 排泄, 入浴などの日常生活活動 (ADL) の自立度には老人保健施設入所による改善はほとんど認められなかった. これは入所者の高齢化が重要な原因と考えられ, もはや自立困難な後期高齢者の処遇が重要な課題であると考えられた.<br>2) 老人保健施設からの家庭復帰率は50%以下にとどまっており, 復帰後家庭に定着できた者の割合はさらに低く, 家庭復帰という目標は達成されているとは言い難かった.<br>3) 老人保健施設での退所指導に対して, 家族も入所者自身も入所継続を希望する場合が多かった. 利用者が必ずしも家庭復帰を望んでいないということが, 家庭復帰が成功しない理由の一つと考えられた.<br>以上の結果から, 新しい介護保険制度が硬直した理念の押し付けにならぬよう十分な配慮が必要であると考えられる.「自立支援」に関していえば, 求められるものは身体動作に留まらない真の意味での自立の支援 (身体介護は受けていても自己決定権と尊厳が保たれること) である. また「在宅重視」に関しては, 被介護者自身の選択を尊重すべきであり, 在宅ではなく施設を選択する自由も十分に保証される必要がある.

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