爪甲下黒色腫の5-S-CDによる術前診断およびHutchinson徴候のDermoscopy所見と病理所見

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タイトル別名
  • Pre-Operative Diagnosis Using 5-S-CD and Dermoscopic and Histopathological Studies of Hutchinson’s Sign of Subungual Melanoma
  • ソウコウ カ コクショク シュ ノ 5-S-CD ニ ヨル ジュツゼン シンダン オヨビ Hutchinson チョウコウ ノ Dermoscopy ショケン ト ビョウリ ショケン

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抄録

本研究の目的は,1)ガーゼ滲出液中5-S-CD値の測定と滲出液からのスタンプ蛍光法あるいは穿刺吸引蛍光法による爪甲下黒色腫の術前診断法の有用性を検討すること,2)Hutchinson徴候の臨床所見,特にDermoscopy所見や病理所見の特徴を明らかにし,爪部色素性母斑との鑑別が可能か否かを検討すること,3)爪甲下黒色腫早期病変の爪甲変化の臨床的特徴を明らかにすることである.〔対象症例・方法〕爪甲下黒色腫が12例,爪甲色素線条・黒色爪が22例である.5-S-CDによる術前診断は既述の方法に従い,Hutchinson徴候はDermoscopyで詳細な観察を行い,蛍光法(未染標本),HMB-45染色やメラニン染色を用いて画像解析を試みた.〔結果〕1)5-S-CDによる術前診断:ガーゼ滲出液中5-S-CD値は4例全例で検出され,3例は滲出液のスタンプ蛍光法,1例は穿刺吸引蛍光法で確定診断しえた.2)Hutchinson徴候:ALM型進行例4例中4例,早期例6例中3例に明瞭なHutchinson徴候が認められた.主な爪囲色素沈着部は指(趾)尖部である.(1)Dermoscopy所見;parallel ridge patternを基本とし,これにfibrillar patternやirregular lattice like patternが加わり,進行例ではdiffuse multicomponent pigmentationやblack globule/dotがみられた.(2)病理所見;異型メラノサイトがcrista profunda intermediaやcrista profunda limitansともに,あるいはcristaprofunda intermediaにやや著明に,その基底層に主として,一部有棘層内に増生し,これら細胞は5-S-CDによる緑色蛍光を発し,HMB陽性で,MF染色では樹枝状突起が明瞭である.早期病変6例中3例は爪甲先端部の部分的欠損で,この部に小色素斑がみられ,Dermoscopy所見はparallel ridge patternを基本とする.(3)爪部色素性母斑との鑑別;小児の黒色爪の爪囲色素沈着(pseudo-Hutchinson徴候)は遊離縁にみられるbar code like linear pigmentationを特徴とし,SM成人例のHutchinson徴候とは臨床的にも病理組織学的にも異なる.3)早期例の爪甲病変:3例が爪甲色素線条・黒色爪であったが,残りの3例はほぼ正常外観の爪甲の部分的欠損と爪甲下の色素沈着を特徴とした.病理組織学的には爪甲色素線条例ではメラニン産生が盛んな異型メラノサイトが爪母上皮の基底層,しばしば有棘層内に個別性に増生し,上皮細胞や爪にメラニン顆粒を転送している.爪甲の部分的欠損と色素沈着例では爪床上皮にメラニン顆粒に富む異型メラノサイトの増生と小胞巣の形成,一部上皮下への浸潤がみられた.注目すべき所見は,やはり爪母上皮にメラニン産生が乏しい異型メラノサイトの増生がみられたことである.

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