先天性後鼻孔閉鎖症と鼻腔狭窄症の検討

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  • Congenital Choanal Atresia and Nasal Stenosis

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抄録

乳児が呼吸困難をきたす原因の一つに先天性の鼻腔構造異常 (後鼻孔閉鎖症と鼻腔狭窄症) がある.今回, 1996年1月から2001年7月までに鼻閉や呼吸障害, 哺乳障害のため国立小児病院耳鼻咽喉科を受診し, 鼻腔構造異常と診断された20例について, 臨床症状および治療経過の比較検討を行った.20例中8例が後鼻孔閉鎖症 (両側性6例、片側性2例), 12例が鼻腔狭窄症 (固有鼻腔狭窄5例, 鼻腔前部狭窄2例, 不明5例) であった.後鼻孔閉鎖症例の約8割, 鼻腔狭窄症例の約4割が重篤な呼吸障害を呈していた.両側後鼻孔閉鎖症例には後鼻孔削開術を, 呼吸障害が重篤であった鼻腔狭窄症例には鼻腔ブジーを施行し, 気管内挿管チューブを48週間鼻腔内にステントとして留置した.一方, 鼻腔狭窄症例12例中, 呼吸困難が軽度であった5例は薬物治療のみで症状が軽快し, 3例は経過観察のみで自然に症状は軽快した.ステント治療を行った後鼻孔閉鎖症7例中5例 (71%) と鼻腔狭窄症4例中1例 (25%) は, ステント抜去後に再狭窄を認めた.後鼻孔閉鎖症例に比べ, 鼻腔狭窄症例の方がステント治療後の再狭窄の割合が低かった.ステント留置期間を延長したにもかかわらず, 再狭窄を防ぐことができなかった症例もあれば, 副損傷のため1週間しか留置できなかったにもかかわらず, 再狭窄を認めなかった症例もあり, ステント留置期間の長さと鼻腔再狭窄傾向には相関性が認められなかった.<BR>鼻腔狭窄の重症例は, 症状, 治療法など後鼻孔閉鎖と大変類似している部分がある.一方, 呼吸症状が軽度な症例では自然軽快することもあるなど, 治療方法の選択や最終的な予後は後鼻孔閉鎖とは異なる点も多い.乳児の鼻腔構造異常に対する手術法, ステント留置期間についても, いまだに統一の見解は得られていない.今後さらに検討が必要であると思われた.

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