サッカーワールドカップ2002に伴う輸入感染症の発生予測

  • 高橋 央
    国立感染症研究所感染症情報センター
  • 加來 浩器
    国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース (FETP)
  • 田中 毅
    国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース (FETP)
  • 松井 珠乃
    国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース (FETP)
  • 小坂 健
    国立感染症研究所感染症情報センター
  • 大山 卓昭
    国立感染症研究所感染症情報センター
  • 岡部 信彦
    国立感染症研究所感染症情報センター

書誌事項

タイトル別名
  • An Estimation of Imported Infections Concerning 2002 FIFA World Cup Korea/Japan
  • サッカー ワールド カップ 2002 ニ トモナウ ユニュウ カンセンショウ ノ ハッセイ ヨソク

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抄録

2002年5月31日~6月30日に韓国と日本で開催が予定されている「2002年FIFAワールドカップ韓国・日本」は, mass-gathering (多数が集まる) and high-profile (重要度の高い) event (催し) である. 国土交通省が開催期間中に日本へ入国する関係者が約43万人と発表されたのを受けて, その間発生すると予想される主要な輸入感染症の数を, 感染症発生動向調査と出入国統計のデータを元に推定したところ, 赤痢5.88件, マラリア3.41件, チフス性疾患1.40件, コレラ0.42件, 流行性脳脊髄膜炎0.0032件, と推定された. 1類感染症に指定されるウイルス性出血熱の発生予想は, アフリカ由来のマラリア症例数に比例して, 15年ごとに日本への持ち込まれると仮定したこころ, 0.0018件と算出された. これらの結果は, ワールドカップ開催中に主要な輸入感染症が著増する可能性は少ないことを示したが, 普段外来感染症を経験しない開催県等でも発生する可能性がある. 特にマラリアへの対応について, サーベイランスの強化と医師や公衆衛生専門職への教育が強く望まれる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 76 (2), 102-108, 2002

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (17)*注記

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