乳幼児肺結核では, なぜ排菌例が少ないのか

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  • Why There Were Few Isolations of Tubercle Bacilli in Young Children with Pulmonary Tuberculosis?
  • ニュウヨウジ ハイケッカク デワ ナゼ ハイキンレイ ガ スクナイ ノ カ

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抄録

1975年1月から1998年12月までに当科で結核症と診断され, 入院加療がおこなわれた小児肺結核症51例を対象に排菌率とその影響因子について検討した. 乳幼児群 (0~6歳) の排菌率 (検鏡7.9%, 培養36.8%) は, 学童・生徒群 (7~14歳) (検鏡69.2%, 培養69.2%) に比べ有意に低く, しかも排菌量も有意に少なかった. 日本結核病学会分類による病型別の排菌率を検討したところ, 非広範囲空洞型 (II型) では検鏡および培養陽性率が100%, 不安定非空洞型 (III型) では検鏡陽性率が14.3%と培養陽性率が39.3%, 肺門リンパ節腫脹型 (H型) では検鏡陽性率が11.8%と培養陽性率が35.3%であった. すなわち空洞形成群 (II型) の排菌率 (検鏡100%, 培養100%) は, 空洞非形成群 (III+H型) (検鏡13.3%, 培養37.8%) に比べ有意に高く, また排菌量も有意に多かった. 乳幼児群では, BCG接種率は15.8%ときわめて低く, 空洞非形成のIII型とH型だけであった. これに対して学童・生徒群では, BCG接種率は84.6%と高く, 空洞形成のII型が46.2%を占め, BCG接種の既往と空洞形成のあいだに関連性が認め, られた. 以上の結果から, 乳幼児結核症例では, BCG接種率が低く, 結核菌に対する遅延型過敏反応が未成立の状態で発症し, 空洞形成しないため排菌率が低いと考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 74 (3), 245-249, 2000

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (8)*注記

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