志賀毒素産生性大腸菌O157による家族内感染事例の疫学マーカー解析

書誌事項

タイトル別名
  • Epidemiological Analysis of Shiga Toxin-producing <I>Escherichia coli</I>O157 Isolates from Familial Infection
  • シガ ドクソ サンセイセイ ダイチョウキン O157 ニ ヨル カゾク ナイ カンセン ジレイ ノ エキガク マーカー カイセキ
  • Epidemiological Analysis of Shiga Toxin-producing Escherichia coliO157 Isolates from Familial Infection

この論文をさがす

抄録

1997年に大阪府下で発生した志賀毒素産生性大腸菌O157: H7による家族内感染22事例54名由来の201株の各種疫学マーカーを用いた解析を行った. 疫学マーカーには志賀毒素 (STx) 型, 薬剤感受性試験, コリシン型, プラスミドプロファイル型, パルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE) 型を用いた.<BR>疫学マーカーを調べた結果, 家族内で明らかに異なった複数の菌株が認められた事例が2例 (家族No.21, 22) あった. 家族No.21は5歳の男児から母親と同一のマーカー株と, STx型以外の4種類のマーカーが異なった株が検出され, 家族No.22は48歳の男性から家族と完全に一致する菌株とSTx型, プラスミドプロファイル型, PFGE型が異なる菌株が検出された. 両事例ともに, 家族内での共通の感染源の存在が考えられたが, 複数の菌株による同時感染あるいは再感染も推察された.<BR>また, 7月から9月に発生した12事例中8事例から同一のマーカー株が検出されており, 各事例の感染源は不明であるが解析結果から共通した汚染食材からの感染が示唆された.<BR>以上のことから, 疫学マーカーは表現型をみる方法と遺伝学的方法を組み合わせることが有用であり, 家族内や同一施設発生事例では1株だけでなく複数株の疫学マーカーを調べ, その結果と喫食調査あるいは患者発生状況などの疫学調査との整合性を考えて, 総合的に疫学解析を行うことが必要と考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 74 (2), 104-111, 2000

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (17)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ