神奈川県における捕獲野猫の寄生蠕虫相

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タイトル別名
  • Helminthic Parasites of Stray Domestic Cats in Kanagawa Prefecture, Japan
  • カナガワケン ニ オケル ホカク ノ ネコ ノ キセイ ゼンチュウソウ

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抄録

1981年10月~1982年11月に神奈川県下において捕獲された野猫105頭について, その寄生蠕虫の検索を行った.供試猫は, 歯牙交換の状態などにより, 生後3~4ヵ月以上と考えられるもの (A群) とそれ未満と考えられるもの (B群) とに大別し, すべて剖検により虫体を採取した.<BR>その結果, A群の猫では53頭のうち35頭 (66.0%) に蠕虫の寄生が認められ, 検出された種は, 胃からPhysaloptera sp.(1.9%), 小腸からマンソン裂頭条虫 (17.0%), 瓜実条虫 (20.8%), 猫条虫 (1.9%), Strongyloides planiceps(1.9%), 猫回虫 (24.5%), 猫鉤虫 (35.9%), 膀胱からCapillaria sp.(3.8%), 心臓から犬糸状虫 (1.9%) で, 条虫3種, 線虫6種の計9種であった.また, B群の猫では52頭のうち33頭 (63.5%) に寄生がみられ, 小腸からマンソン裂頭条虫 (1.9%), 瓜実条虫 (13.2%), Strongyloides planiceps(5.8%), 猫回虫 (57.7%) が得られた.<BR>これらの蠕虫の中にはマンソン裂頭条虫など人体にも感染するものが含まれているため, 人獣共通寄生虫症の保有宿主として猫を十分に認識する必要がある.また, 実験用動物として捕獲野猫を導入する場合には, これらの寄生虫の感染を高率に受けていることを念頭におくべきである.

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