血液疾患に合併した真菌血症の背景因子と予後因子

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タイトル別名
  • Background and Prognostic Factors of Fungemia in Patients with Hematological Disease
  • ケツエキ シッカン ニ ガッペイシタ シンキンケッショウ ノ ハイケイ インシ

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抄録

1976年から1996年の間に当血液内科において真菌血症を発症した62例の背景因子と治療成績について検討した.男女比は44人/18人, 年齢は13歳-75歳, 基礎疾患は急性白血病36例, 慢性骨髄性白血病9例, 悪性リンパ腫9例, その他8例であった.原因菌は全体ではT.beigeliiC.tropicalisが多かったが, 1988年以降C.kruseiが増加し, C.albicansが減少する傾向にあった.患者は, (1) 急性白血病・悪性リンパ腫の再発, 慢性骨髄性白血病の急性転化といったターミナルステージの症例, (2) 好中球数100/μ1以下の症例, (3) 抗生剤が投与されている症例, (4) 局所感染症, 消化管出血, 尿路カテーテル留置を有している症例, (5) 発症前に監視培養で原因菌が見いだされている症例が多かった.真菌血症の予後は不良で74%が死亡した.予後を左右する因子として, ショック症状の有無, 1週間後の好中球増加の有無, AMPHの点滴投与の有無の三つがあげられた.治療成績の改善には, 菌叢監視培養における真菌の増加に注意すること, AMPHの点滴投与を早期に開始すること, 発症後はG-CSF等で好中球数の増加を図ることが重要と考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 72 (9), 912-917, 1998

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (12)*注記

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