大学附属病院におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の遺伝学的解析

  • 石本 強
    東京医科歯科大学医学部保健衛生学科病因検査学
  • 千田 俊雄
    東京医科歯科大学医学部保健衛生学科病因検査学
  • 岡村 登
    東京医科歯科大学医学部保健衛生学科病因検査学

書誌事項

タイトル別名
  • Molecular Typing of Methicillin-Resistant <I>Staphylococcus aureus</I> in a University Teaching Hospital
  • Molecular Typing of Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus in a University Teaching Hospital

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抄録

東京医科歯科大学附属病院における, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の疫学的解析を目的として, プラスミドDNAの解析および, 染色体DNAのパルスフィールドゲル電気泳動法 (PFGE) による解析を実施した.MRSA276株中プラスミドは, 263株に存在していた.プラスミドが存在していたMRSAは, プラスミドの分子量と組み合わせにより30のパターンに分類された.このうち13.4Mdsの単一のプラスミドをもつパターンが最も高頻度に検出され, 55.7%を占めていた.<BR>このプラスミドパターンをもつMRSAは, 17の診療科のうち14の診療科において検出され, このうち最も多く検出された診療科7由来の33株について, 染色体DNAのパルスフィールドゲル電気泳動法 (PFGE) による解析を実施したところ, これらの株の類似度は高かった.またこれらの株の抗生物質感受性パターンと, PFGEによる分類の間に相関がみられた.これらから診療科7において, ある特定のMRSA株が患者間に伝播していたことが示唆され, プラスミドDNAの解析とPFGEによる解析の組み合わせは, MRSAの疫学的解析に有用であると思われた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 73 (3), 225-232, 1999

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (21)*注記

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