感染<I>Rickettsia tsutsugamushi</I>の血清型によるつつが虫病の臨床所見の解析

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タイトル別名
  • Analysis of Clinical Severity of Tsutsugamushi Disease According to the Serotype of Pathogenic Rickettsia
  • 感染Rickettsia tsutsugamushiの血清型によるつつが虫病の臨床所見の解析
  • カンセン Rickettsia tsutsugamushi ノ ケツセイガタ

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抄録

つつが虫病の臨床像とくに重症度の病原学的な解析を目的として, 1992-1994年に大分県で罹患したつつが虫病患者45名について感染R.tsutsugamushiの血清型と臨床症状もしくは検査成績との関連を検討した.患者はIrie型20名とHirano型24名の2群に分けられた (Karp型の1例は除外).臨床症状の頻度は両群でほとんど差を認めなかった.検査成績 (中央値) はCRPは両群で差はなかったが (Irie型3.15mg/dl;Hirano型3.10mg/dl), 赤沈値はIrie型がやや大きかった (Irie型35mm/hr;Hirano型21.5mm/hr).末梢血では白血球数はHirano型で発病初期の減少が高度であった (Irie型5,500/μl;Hirano型3,700/μl, p<0.05).血小板数もHirano型で減少が著しかった (Irie型230×103/μl;Hirano型160×103, p<0.05).肝機能検査はGOTはIrie型37IU/l, Hirano型71IU/l, GPTは36.5IU/lと65IU/l, LDHは546.5IU/lと709IU/lといずれもHirano型が有意に高値であった (p<0.05).急性期のGPT値は経過とともに上昇し (r=0.494, p<0.05).Irie型では治療開始後比較的急速に回復したが, Hirano型では7日前後は上昇傾向が持続した例が多かった.以上の結果, 臨床検査成績からHirano型がIrie型より重症な経過をとることが明らかとなった.これは両群のリケッチアの病原性を反映すると考えられた.血小板数は白血球数 (r=0.427, p<0.05), 赤沈値 (r=0.691, p<0.01) などと相関が認められ, 病態の解析に有用な所見と考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 71 (4), 299-306, 1997

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (21)*注記

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