肝硬変に合併した菌血症の臨床的検討

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タイトル別名
  • Clinical Study on Bacteremia in Patients with Liver Cirrhosis
  • カンコウヘン ニ ガッペイシタ キンケッショウ ノ リンショウテキ ケントウ

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抄録

過去16年間の肝硬変入院患者で延べ39例40回44菌株の菌血症・敗血症 (以下菌血症) を経験した.菌血症は肝硬変延べ入院患者の4.8%(39/808), 血液培養施行回中23%(40/171) と高率に起きていた.Escherichiacoli, Klebsiella pneumoniae, Vibrio科が三大検出菌であり, Gram陰性菌優位 (66%, 29/44) であった.Pseudomonas aeruginosaによる菌血症はなかった.菌血症患者は血液培養陰性者に比し, 肝性脳症であることが有意に多く, 血清アルブミン値, プロトロンビン時間, ヘパプラスチンテストの値は有意に低値であった.即ち, 菌血症は肝硬変でも重症例に起こりやすい.感染巣は腸管感染症と尿路感染症が目立つが, 55%(24/44) は感染巣不明であった.転帰は不良であり28%(11/39) が死亡した.菌血症を起こす患者が重症例が多い事も関係し, 死因は肝不全が主体であった.しかし, 菌検出より1週間以内の死亡例はショックを併発した2例のみであった.白血病に合併する菌血症ほどは重篤でないと考えられる.肝硬変患者, 特に重症者の熱発時には, 菌血症を考慮し血液培養を必ず行わねばならない.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 70 (5), 456-462, 1996

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (19)*注記

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