大腸結核が併存した大腸癌の1例

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タイトル別名
  • A Case of the Colon Cancer Associated with Colonic Tuberculosis

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抄録

症例は55歳男性。平成12年5月, 当院の大腸癌検診で便潜血陽性であったがその後放置していた。10月27日来院し11月8日大腸内視鏡検査を施行した。上行結腸肝彎曲部近傍に2型大腸癌以外に, さらにその2cm口側に約1.5cm長の線状の潰瘍性病変を認めたが, その部位の生検による病理検索では悪性所見を認めなかった。11月29日右半結腸切除, D3リンパ節郭清を施行した。切除標本の病理検索で大腸癌近傍の潰瘍性病変に乾酪性肉芽腫を認め, 大腸結核と判明した。また癌リンパ節転移は認めないものの, 第2群まで結核結節が認められた。術前の胸部単純写真を詳細に再検討すると, 両肺野にかすかに写る彌慢性の陰影が認められた。ツ反は強陽性であったが, 咳, 痰等の呼吸器症状はなく, 喀痰, 胃液, 便検査, 切除標本から抗酸菌は検出されなかったため, 非活動性と考え現在外来で抗癌剤とともに抗結核薬の服用を継続している。以上より大腸内視鏡検査の生検病理検索で悪性を見出せない潰瘍性病変を認めた場合には, 炎症性腸疾患, 中でも最近増加傾向にある結核を疑い・その精査や既存検査の再検討が肝要と思われた。

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参考文献 (17)*注記

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