血液学的寛解中に髄腔内再発を認めた多発性骨髄腫

書誌事項

タイトル別名
  • Intradural recurrence of multiple myeloma during the hematological complete remission
  • 症例 血液学的寛解中に髄腔内再発を認めた多発性骨髄腫
  • ショウレイ ケツエキガクテキカンカイチュウ ニ ズイクウナイ サイハツ オ ミトメタ タハツセイ コツズイシュ

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抄録

症例は55歳,男性。1997年12月,左側胸部痛,前腕痛にて当科を受診され,血清のIgG-λ型M蛋白と尿中Bence Jones蛋白,後縦隔腫瘍を指摘された。骨髄は過形成で形質細胞が73.6%を占めており,IgG-λ型多発性骨髄腫と診断した。後縦隔腫瘍に関しては,病理組織学的に確認していないが骨髄腫の髄外病変と考えられた。VAD療法,MP療法,インターフェロン療法と共に後縦隔への放射線照射を併用し,後縦隔病変も含め血液学的に寛解状態となった。1年9カ月後馬尾神経と大脳実質内へ再発を認め,髄液中には多数の形質細胞とIgG-λ型M蛋白が出現していたが,骨髄像,血清IgG値等,中枢神経以外に再発を認めなかった。本症例は,治療開始前に髄腔内に直接浸潤していた腫瘍細胞が増殖し,1年9カ月後に症状を呈したものと考えられた。治療法の進歩に伴い,その効果は期待できるが,薬剤の移行しにくい中枢神経系に病変を有する骨髄腫の症例が増加することが予想され注意が必要である。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 43 (11), 1009-1013, 2002

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (14)*注記

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