キューバにおけるエイズ対策 ASSESSMENT OF THE CUBAN APPROACH TO AIDS AND HIV

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著者

    • 小池 創一 KOIKE Soichi
    • 慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室 Department of Preventive Medicine and Public Health, School of Medicine, Keio University

抄録

<b>目的</b> キューバのエイズ対策の概要,歴史,疫学,検査体制および療養所システムについて明らかにし,他のエイズ問題を抱える開発途上国に対して適応可能であるかについて考察を行うこと。<br/><b>方法</b> エイズ療養所への訪問および聞き取り調査(2001年 3 月23日より31日)ならびに文献調査<br/><b>調査結果</b><br/> (1)疫学 キューバの国立リファレルセンターであるペドロ・コウリ研究所における1986年から2001年 1 月までの累積 HIV 感染者・AIDS 患者数は合計で3,230人,うち男性は2,500人(77.4%),女性は730人(22.6%)であった。このうち AIDS 患者は1,195人,死亡は843人であった。<br/> (2)検査体制 HIV 検査は45ある全国研究所ネットワークにおいて一次検査を行い,ペドロ・コウリ研究所が確定診断を行う。<br/> (3)治療体制 HIV 感染が明らかとなった場合,患者・感染者は療養所に入所するか,デイケアホスピタルに入院することとなる。療養所またはデイケアホスピタルでの評価,教育等の終了後は,地域における外来プログラムに引き継がれるというシステムが構築されている。<br/> (4)キューバのエイズ対策の歴史 キューバにおけるエイズ対策は,1983年にキューバ公衆衛生省が全国エイズ委員会を設置した当時から本格化した。1990年 6 月までに延べ800万人に検査が実施され,大規模なエイズ検査態勢が敷かれた。1990年からはキューバ国内のすべての郡においてエイズ療養所の建設が始まり,1993年にはエイズ患者の外来治療制度が導入された。<br/><b>結論</b> キューバは,エイズの蔓延を防止できた点において成功を収めたといえるが,その成功は既存の保健医療システムに深く根ざしたものであり,かつ,極めて初期の段階に強力な介入を行うことができた点に特徴がある。一方,感染者をエイズ療養所に入所させるなどの取り扱いなど,手法の是非については国際的にも評価が分かれている。このため,キューバのエイズ対策をモデルとして,他のエイズ問題を抱える開発途上国に対してそのままの形で適応可能であるかという点については,更なる研究を待つ必要がある。キューバにおいてこれまでに確立された保健医療システムおよび国際協力の経験やノウハウは,将来キューバが南々協力の拠点となる可能性を示唆するものとして注目される。

<b>Objective</b> The objective of this study was to assess the Cuban AIDS polidy model and its possible application to other developing countries through epidemiological analyses.<br/><b>Method</b> The author conducted a field study in Cuba from March 23 to 31, 2001, and reviewed related articles.<br/><b>Results</b> (1) The National Referral Center of Cuba, the Pedro Couri Institute, detected 3,230 HIV positive patients between 1986 and January 2001. Among them, 2,500 were male and 730 were female.<br/>(2) 45 institutions are responsible for the preliminary screening and the Pedro Couri Institute finalizes the diagnosis.<br/>(3) Diagnosed patients are admitted to a sanatorium for AIDS patients or a day care hospital free of charge.<br/>(4) The Ministry of Health in Cuba set up a national committee on AIDS in 1983, and had screened eight million people by June 1990, all provinces in Cuba started building AIDS sanatoriums. From 1993, day care hospitals started treating patients.<br/><b>Conclusions</b> Cuba has succeeded in controlling the HIV/AIDS epidemic. Its success relies on the exising health care system and intervention at early stages. Due to the debates on the sanatorium policy and the screening of pregnant mothers, direct application of the cuban model to other countries requires careful consideration at this stage.

収録刊行物

  • 日本公衆衛生雑誌

    日本公衆衛生雑誌 49(12), 1268-1277, 2002-12-15

    Japanese Society of Public Health

参考文献:  28件中 1-28件 を表示

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    10010150502
  • NII書誌ID(NCID)
    AN00189323
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    NOT
  • ISSN
    05461766
  • NDL 記事登録ID
    6428614
  • NDL 雑誌分類
    ZS17(科学技術--医学--衛生学・公衆衛生)
  • NDL 請求記号
    Z19-216
  • データ提供元
    CJP書誌  NDL  J-STAGE 
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