タクロリムス軟膏が著効したアトピー性皮膚炎患者の顔面黄色腫

書誌事項

タイトル別名
  • Successful Treatment with Tacrolimus Ointment for Plane Xanthoma of the patient with atopic dermatitis
  • タクロリムス ナンコウ ガ チョコウシタ アトピーセイ ヒフエン カンジャ ノ ガンメン キイロ シュ
  • 尋常性乾癬の病態 : 乾癬における「形」の理解
  • ジンジョウセイカンセン ノ ビョウタイ : カンセン ニ オケル 「 カタチ 」 ノ リカイ

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抄録

タクロリムス軟膏が著効したアトピー性皮膚炎患者の顔面黄色腫の一例を報告した.症例は68歳の男性.幼少時よりアトピー性皮膚炎の治療にて,長期にわたりステロイド軟膏を顔面に外用していた.1996年より下眼瞼・頬部にびまん性の黄色局面が出現.血液検査にて,脂質代謝に異常所見を認めず,病理組織像では,表皮の萎縮とともに真皮浅層から中層にかけて,泡沫細胞の集簇を認めた.以上の所見から,自験例をアトピー性皮膚炎患者の顔面に生じた正脂血性扁平黄色腫と診断.治療では,ステロイド軟膏の外用を中止,遮光指導,白色ワセリンの外用を行うも軽度の消退傾向を認めるのみであった.そのため,初診から3年後の1999年より,タクロリムス軟膏の外用に切り替えたところ,約1年の経過で黄色腫は完全に消退した.自験例の黄色腫は,慢性炎症がその発症に深く関与しているものと推測され,ステロイド軟膏と同等の抗炎症効果を有する一方で,皮膚萎縮,毛細血管拡張などの皮膚障害作用を持たないタクロリムス軟膏が,有効に作用したものと考えた.

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参考文献 (9)*注記

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