小児の非器質性胸痛の臨床および心理社会的検討

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タイトル別名
  • ショウニ ノ ヒキシツセイ キョウツウ ノ リンショウ オヨビ シンリ シャカイテキ ケントウ
  • Clinical and Psychosocial Analysis of Nonorganic Chest Pain in Children

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抄録

小児の非器質性胸痛である特発性胸痛(143名;85.1%)と心因性胸痛(25名;14.9%)の臨床的特徴と心理社会的背景を検討した. 特発性胸痛は男子に多く, 年齢と共に増加し, 主に左前胸部の5分以内の痛みで, 受診までの期間は34%が6か月以上であった. 心因性胸痛は10歳代の女児に多く, 胸部全体の30分以上持続する痛みが多く, 84%が1か月以内に受診していた. 両疾患には, 心疾患の家族歴, 家族の死, さらに患児本人に心疾患の疑いの既往が多く, 家族と患児での心疾患や死に対する不安があった. 心因性胸痛では, 起立性調節障害, 過呼吸症症候群, 心身症類縁疾患の合併や, 不登校など学校関連ストレスが多かった. 以上より, 小児の特発性胸痛と心因性胸痛は, 臨床症状と所見である程度鑑別が可能であることが明らかになった. これらの胸痛の発症, 増強や受診行動の背景には病気に対する不安や種々のストレスがあり, 特に心因性胸痛は心身症の初期症状としての対応が必要である.

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