冠動脈バイパス術後の小腸壊死に伴う門脈ガス血症を壊死腸管の切除により救命しえた1手術例

書誌事項

タイトル別名
  • A Survived Case of Small Intestinal Necrosis Associated with Hepatic Portal Venous Gas after Coronary Artery Bypass Grafting

この論文をさがす

抄録

症例は77歳, 男性。主訴は下腹部痛。平成9年2月, 虚血性心疾患に対し冠動脈バイパス術を施行。第4病日に下腹部痛が出現。超音波検査, CT検査にて門脈内にガス像を認めた。急性上腸間膜動脈閉塞症による腸管壊死と診断し, 緊急開腹手術を施行。Treitz靱帯より肛門側220cmから回腸末端15cm口側まで, 腸管の壊死と血流障害を認めた。腸間膜動脈の拍動は良好で, 非閉塞性腸管虚血と診断した。壊死腸管を約2m切除し, 小腸瘻を造設した。術後経過順調で, 3カ月後に小腸瘻を閉鎖した。術後5年6カ月の現在健在である。門脈ガス血症は腸管壊死などで生じる稀な病態で, 予後不良と言われている。門脈ガスの診断には, 超音波検査・CT検査が有用で, 腸管壊死が疑われる急性腹症では躊躇なく緊急開腹することが望ましい。

収録刊行物

参考文献 (13)*注記

もっと見る

詳細情報

問題の指摘

ページトップへ