高齢者の栄養評価と低栄養の対策

  • 葛谷 雅文
    名古屋大学大学院医学系研究科発育・加齢医学講座 (老年科学)

書誌事項

タイトル別名
  • Nutritional assessment and nutritional management for the elderly
  • コウレイシャ ノ エイヨウ ヒョウカ ト テイエイヨウ ノ タイサク

この論文をさがす

抄録

高齢者は咀嚼力の低下, 嚥下障害などを伴いやすく, さらに食欲低下を起こすさまざまな原因により摂食障害また摂食量が低下し, 低栄養に陥りやすい. しかも医療者側に低栄養に関する認識が低く, 重要性の自覚がないため, 往々にしてその栄養障害を見逃し, 患者の予後に悪影響を及ぼしていることが少なくない. 実際, 寝たきり高齢者などでは, 入院中にもかかわらず, 身長, 体重が測定されていないことは決してめずらしいことではない. 低栄養の原因となる摂食障害の原因を明らかにし, それに対して適切に対処することが高齢者の予後に好影響もたらすことは明らかだが, それ以前に医療従事者が低栄養に気付くこと, また低栄養のリスクがあることを認識することがもっとも大切なことだと思う. また, もともと食欲低下がめずらしくない高齢者が食欲をそそられるような食事の提供にも今後病院側は注意をはらうことが必要であろう. さもなければ“starvation in the hospital”は今後も続くことになる.

収録刊行物

被引用文献 (18)*注記

もっと見る

参考文献 (28)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ