介護保険施行後の保健師活動に関する調査(第1報) 介護保険業務へのとりくみに焦点を当てて

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タイトル別名
  • PUBLIC HEALTH NURSES' ACTIVITIES AFTER THE INITIATION OF LONG-TERM CARE INSURANCE (PART 1) FOCUS ON OPERATIONS FOR LONG-TERM CARE INSURANCE
  • カイゴ ホケン シコウ ゴ ノ ホケンシ カツドウ ニ カンスル チョウサ ダイ1ポウ カイゴ ホケン ギョウム エ ノ トリクミ ニ ショウテン オ アテテ

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抄録

目的 介護保険制度開始後の自治体における保健師の配置と介護保険への関与状況,および,自治体の介護保険への取り組みについて全国調査を行い,相互の関連を把握する。これにより,保健師の配置が介護保険の運用に及ぼす影響を検討する。<br/>方法 平成13年 3 月に,全国1,344自治体(政令指定都市・特別区・市は全数,町・村は 4 分の 1 抽出)に郵送法による質問紙調査を実施した。<br/>結果および考察 有効回収数は569(回収率42.3%)であった。自治体における保健師の配置は,「老人保健」が36.4%で最も多く,次いで「母子保健」29.8%で,「介護保険」は10.2%であった。<br/> 介護保険業務のうち,非認定者のフォロー,要介護者家族への介護指導,相談・苦情処理には80%以上の自治体で保健師が関与していた。認定調査に関する業務やケアプランの質の保証に関する業務,すなわち介護認定調査員や介護支援専門員への研修・指導・助言,介護認定審査会の準備・調整,介護サービス提供者への指導などには,市部では 6 割~8 割の自治体で保健師が関与していたが,郡部では 3 割~6 割の自治体しか関与していなかった。さらに,介護保険部門に保健師が配置されている自治体の方が,個別的な対応を除く殆どの業務で,保健師の関与割合が高かった。<br/> 保健師の所属部門別に関わっている業務を見ると,「介護保険部門」の保健師は,認定調査やケアプラン・サービスの質に関する業務への関わりが多く,「福祉部門」や「保健福祉部門」の保健師は,患者・家族への個別的な対応が中心となる業務で多く関わっていた。<br/> 介護保険サービス事業者への研修会・個別指導・事例検討は50%近くの自治体で実施されていたが,研修会や個別指導は郡部で実施率が低かった。<br/> 介護保険導入後の問題点として,「部署の細分化による連携や意志疎通の困難さ」「認定調査や介護支援専門員業務の時間的負担」「非認定ケースの情報把握や介護保険サービスを受けているケースへの働きかけが行いにくい」などがあげられた。<br/>結論 介護保険への保健師の関与状況が示され,保健師の配置と介護保険業務,特に質保証に関する業務の実施と関連していることが示唆された。保健師の配置部門は介護保険や福祉に広がっており,介護保険サービスの質向上などが期待される一方,部門間の連携強化に向けた取り組みが必要である。郡部ではサービス事業者への指導等の実施率が低く,保健所などの都道府県組織による支援の必要性が示唆された。

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