高齢者口腔癌患者への癌告知に関する臨床的研究

  • 梅田 正博
    神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座顎口腔機能学分野
  • 小松原 秀紀
    神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座顎口腔機能学分野
  • 尾島 泰公
    神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座顎口腔機能学分野
  • 石田 佳毅
    神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座顎口腔機能学分野
  • 南川 勉
    神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座顎口腔機能学分野
  • 藤岡 学
    神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座顎口腔機能学分野
  • 渋谷 恭之
    神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座顎口腔機能学分野
  • 横尾 聡
    神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座顎口腔機能学分野
  • 古森 孝英
    神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座顎口腔機能学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A Clinical Study of Cancer Disclosure in Elderly Patients with Oral Cancer

この論文をさがす

抄録

近年, 医療の進歩とともに高齢者口腔癌患者に対しても根治手術が行われるようになってきた。治療法を決定する上でインフォームドコンセントが重要であるが, わが国では従来高齢者に対する癌告知は避けられる傾向があった。今回, 高齢者口腔癌患者について, 癌告知を含めたインフォームドコンセン1・の現状を中心に検討した。<BR>対象患者は2000年より2002年に当科を受診した75歳以上の口腔癌患者ユ6例で, 臨床病期はstage III-IVの進展例が多かった。16例中14例で痴呆, 高任猛圧, 心疾患, 脳梗塞, 肺疾患, 腎疾患, リウマチなどの全身疾患を合併していた。performance status (PS) は0~1が6例, 2~3が10例であった。<BR>本人への癌告知率は50%であった。一方, 同時期の75歳未満の患者に対する告1知率は90.5%でった。非告知の理由は, 重度の痴呆のため認知障害があったものが2例, および本人が告知を希望しなかったものが1例あったが, 他の5例では年齢, 腫瘍の進展度, 予後の見通し, 家族の意向, 前医との継続性などを総合的に判断し告知を行わなかった。<BR>治療法としては手術が10例, 放射線治療, 化学療法がそれぞれ1例に行われたが, 4例では高度進展, 全身状態不良, 家族の拒否などにより治療は施行できなかった。手術を行った10例の予後は, 頸部非制御死, 遠隔転移死, 不明が各1例ずつみられたが, 他の7例は無病生存中で, 術前と同様のADLに回復した。

収録刊行物

  • 老年歯科医学

    老年歯科医学 18 (1), 28-35, 2003

    一般社団法人 日本老年歯科医学会

被引用文献 (8)*注記

もっと見る

参考文献 (12)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ