大きな食道壁内転移をきたした噴門部粘膜下層癌の1例

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  • A Massive Esophageal Intramural Metastasis of Gastric Cardia Cancer Involving Submucosa : A Case Reprort

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抄録

噴門部癌の食道壁内転移は4~24%にみられ比較的少なく, 大きさが記載された文献で見ると原発巣より小さいものばかりである。われわれは下部食道腺癌と診断したが, 原発巣より大きな口側食道壁内転移巣を伴った噴門部粘膜下層癌と術後に判明した稀な1例を経験したので報告する。症例は67歳, 男性。つかえ感にて来院。食道内視鏡にて上切歯列より35cmから隆起性病変を認め, 噴門に至る病変であった。生検でadenocarcinomaを認めたため, 下部食道腺癌の診断にて右開胸開腹食道亜全摘, 胸骨後経路頸部食道胃管吻合術を行った。病理診断では噴門部胃癌, U>E, 3.7×2.7cm, Type2, tub1, SM2, ly1, v1, pN3 (110), pM1 {食道転移巣 (6.5×4.5×1.6cm), リンパ節 (105,106recR, 107)}, pStage IVであった。本例は食道狭窄により病変の非連続性を認識できず, 診断が困難であった。食道壁内転移巣が原発巣より大きい場合, 癌の悪性度の高さを示唆するものと考えて対応する必要があると思われた。

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