多発大腸腫瘍からみたp53蛋白発現の臨床病理学的意義

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抄録

多発大腸腫瘍のp53蛋白発現をp53標識率 (p53LI) で検討し, p53癌抑制遺伝子の臨床病理学的意義を考察した。大腸腺腫と癌との間でp53蛋白発現率およびp53LIに有意差がみられ (p<0.01), 早期癌と進行癌との間でp53LIに有意差が認められた (p<0.05) 。深達度ではss, a1以上のp53LIが有意に高値を示し (p<0.05), 脈管侵襲およびリンパ節転移陽性大腸癌のp53LIは陰性大腸癌に比べ有意に高値を示した (p<0.05, p<0.01) 。また, 同一個体でp53蛋白発現陽性大腸癌と陰性大腸癌の併存を認め, 大腸癌の発癌過程にp53遺伝子変異が関与する経路と関与しない経路のあることが示唆された。そして, p53LIは病変が悪性化および進行するにしたがって増加する傾向が認められ, p53遺伝子変異は腺腫から癌になる過程に最も深く関与すると考えられるが, 癌の増殖にも関与していることが示唆された。

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