寒冷曝露により急激な乏尿,全身浮腫を来したクリオグロブリン血症合併のC型肝硬変の1例

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タイトル別名
  • A case of type C liver cirrhosis with cryoglobulinemia who had oliguria and anasarca due to the cold exposure

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抄録

症例は66歳の男性. 1991年にC型慢性肝炎と診断され, 1992年インターフェロン治療により肝機能は正常化した. しかし1996年頃より再びトランスアミナーゼの上昇, IgMの上昇, クリオグロブリン血症の合併を認めた. 1998年1月, 室温約4℃以下の地下室で勤務を行い, 勤務2日目より乏尿, 5日目には著明な全身浮腫を来し入院となった. 画像検査では肝硬変と診断されたが, 血清総蛋白値は正常, アルブミン値は軽度の低下のみであった. また尿蛋白陽性, リウマチ因子陽性, HCV-RNA陽性であったが腎機能障害は認めなかった. 入院後寒冷曝露を避け, 利尿剤の投与で全身浮腫は速やかに消失した. 腎生検では膜性増殖性腎炎の所見を認めた. 本症例の全身浮腫の原因として, 長時間の寒冷曝露によりクリオグロブリンの粘着性が上昇し, 一過性に腎血流障害を誘発し, 寒冷暴露から回避されたことで症状が改善したと推測された. 示唆に富む症例と考え報告する.

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 45 (3), 139-143, 2004

    一般社団法人 日本肝臓学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (14)*注記

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