摂食・嚥下障害者における栄養摂取方法と口腔内環境との関連

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タイトル別名
  • Relationship between Feeding Methods and Oral Conditions of Dysphagic People

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抄録

摂食・嚥下障害者の栄養摂取方法と口腔内環境との関連を明らかにする目的で, 介護力強化病院および老人保健施設に入院・入居中の摂食・嚥下障害の疑いのある53名 (男性13名, 女性40名, 平均年齢78.1±11.3歳) 中, 義歯非使用者35名 (男性8名, 女性27名, 平均年齢76.9±12.0歳) を対象に, 本研究を行った。調査方法は, 日常生活状況, 口腔ケア, 摂食状況について, 担当の介護者, 看護婦 (士) に対して聞き取り調査を行った。口腔内診査, 機能評価, 口腔衛生状態については, 歯科医師・歯科衛生士が検査した。その結果, 以下の知見を得た。<BR>1) オーラルディスキネジアがある者は, 経口摂取者群で26名中3名 (11.5%), 経管栄養者群では9名中4名 (44.4%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との間に, 5%の危険率で有意差が認められた。<BR>2) 開口量は, 30mm以上開口が可能な者は, 経口摂取者群では26名中20名 (76.9%), 経管栄養者群では9名中3名 (33.3%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との問に, 5%の危険率で有意差が認められた。<BR>3) 舌炎がある者は, 経口摂取者群では26名中2名 (7.7%), 経管栄養者群では9名中5名 (55.6%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との間に, 1%の危険率で有意差が認められた。<BR>4) 舌背部カンジダ菌陽性者は, 経口摂取者群では26名中22名 (84.6%), 経管栄養者群では9名中3名 (33.3%) であり, 経口摂取者群と経管栄養者群との問に, 1%の危険率で有意差が認められた。<BR>5) 栄養摂取方法を外的基準として数量化理論II類検定を行った結果, 舌炎が最も高い偏相関係数0.663を示した。

収録刊行物

  • 老年歯科医学

    老年歯科医学 15 (1), 14-24, 2000

    一般社団法人 日本老年歯科医学会

被引用文献 (6)*注記

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参考文献 (32)*注記

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