北海道における特発性血小板減少性紫斑病治療の現況(<i>Helicobacter pylori</i>除菌療法施行状況と成績の把握)

書誌事項

タイトル別名
  • Current status of treatment for patients with idiopathic thrombocytopenic purpura in the Hokkaido area (Evaluation of <i>Helicobacter pylori</i> eradication)
  • 臨床研究 北海道における特発性血小板減少性紫斑病治療の現況(Helicobacter pylori除菌療法施行状況と成績の把握)--アンケート調査報告
  • リンショウ ケンキュウ ホッカイドウ ニ オケル トクハツセイ ケッショウバン ゲンショウセイ シハンビョウ チリョウ ノ ゲンキョウ Helicobacter pyloriジョキン リョウホウ シコウ ジョウキョウ ト セイセキ ノ ハアク アンケート チョウサ ホウコク
  • —アンケート調査報告—

この論文をさがす

抄録

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療方針は,ここ数年日本国内ではHelicobacter pylori (HP)除菌療法の参入により大きく変貌しつつあるが,これまで多施設共同でのまとまった報告は乏しい。臨床血液談話会は北海道内11施設の血液内科で組織される多施設共同研究組織である。ITPに対する治療の現況及びHP除菌療法の施行状況と成績を把握するため,2003年1月から3月まで加盟病院にアンケート調査を行った。回収率は81.8%(11施設中9施設)であった。HP感染診断・除菌療法は症例登録された全ての施設で施行されており,全登録症例の54.3%(219例中119例)にHP感染診断検査が施行されていた。HP陽性率は68.1%(119例中81例)で,それらHP陽性患者の87.7%(81例中71例)に除菌治療が施行されていた。除菌効果判定検査を施行した症例では,83.9%(62例中52例)でHP除菌に成功していた。除菌前血小板数10.0×104l未満の血液学的非寛解症例に限ってみると,除菌成功者の中での寛解率は48.8%(43例中21例)であり,これまでの国内論文の成績をあらためて裏付ける成績であった。解析した項目の中では,血小板増加群と不変群で,背景因子に違いを認めなかった。HP除菌療法では,軽度の消化器症状と薬疹が少数例で見られた以外問題となる副作用を認めず,その安全性と有効性から現時点でもITPの初回治療として認識されていることが判明した。今後は,初回治療でHP除菌療法を施行すべき症例の選択,除菌治療有効群と無効群の背景因子と病態機序の解析,HP除菌療法後の長期予後など,HP除菌療法も含めた新規ITP治療指針確立に向けた多施設共同前方視的臨床研究が必要である。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 45 (7), 539-545, 2004

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

参考文献 (17)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ