マウス脊髄切片培養法とその応用

  • 須貝 文宣
    大阪大学 大学院医学系研究科 神経機能医学講座 神経内科学(D-4)
  • 山本 洋一
    大阪大学 大学院医学系研究科 神経機能医学講座 神経内科学(D-4)
  • 佐古田 三郎
    大阪大学 大学院医学系研究科 神経機能医学講座 神経内科学(D-4)

書誌事項

タイトル別名
  • Organotypic spinal cord culture using mice
  • 実験技術 マウス脊髄切片培養法とその応用
  • ジッケン ギジュツ マウス セキズイ セッペン バイヨウホウ ト ソノ オウヨウ

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抄録

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は,緩徐進行性に上位および下位運動神経が障害されるために,四肢のみならず嚥下·会話·呼吸に関する筋力も低下し日常生活機能が著しく損なわれる極めて予後不良の神経変性疾患である.ALSのほとんどは孤発性であり,その病因としてグルタミン酸毒性,酸化的ストレス,ニューロフィラメントの構造異常などが想定されているが,未だ原因の確定には至っていない.一方,ヒトALS患者の1-2%がsuperoxide dismutase 1(SOD1)遺伝子の変異をともなうことから,変異型ヒトSOD1遺伝子を過剰発現させたトランスジェニックマウスがALSのモデル動物として汎用されている.一方,前臨床段階におけるALS治療薬のin vitroスクリーニング方法として,正常ラットを用いた脊髄切片培養法が用いられてきた.この系は,グルタミン酸取り込み阻害薬を培養液中に添加することで,グルタミン酸毒性による緩徐な脊髄前角運動神経細胞死を誘導しようとするものである.今回,我々はマウスを用いたin vitro ALSモデルとしての脊髄切片培養法の確立を目指し,正常マウスを用いた系でもグルタミン酸取り込み阻害薬により脊髄前角運動神経細胞数が減少することを確認した.マウスによる系の最大の利点は,遺伝子改変動物の利用が容易であることであり,今後変異型ヒトSOD1遺伝子を過剰発現させたALSモデルマウスを用いることで,脊髄前角運動神経細胞が自然に減少する,より理想的なin vitro ALSモデルの確立を目指している.<br>

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参考文献 (7)*注記

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